シャルマの未来予測 を読んでみて 10

第10章は【メディア】

 

経済の過熱や恐慌はメディアの注目の的となる一方、歴史を見ると経済の伸びが高くなるにつれてその持続時間は短くなる。そのため、メディアの楽観的・悲観的予測は当たるケースのほうが少ないのではと筆者は予測し、「タイムズ」のアーカイブを漁ったところ、その予想があたっていた。

逆に、今は見向きもされない国から将来のスターが生まれる可能性がある。

また、過去のメディアはアフリカなどメディアから遠い国を一緒くたにしていた。現在は国ごとの明暗を分析している。

 

調査対象として名前の上がったメディアは、タイムズ・ニューズウィークエコノミスト

シャルマの未来予測 を読んでみて 9

第9章は【過剰債務】

経済成長の伸びに対して、債務の増加比率が高すぎる場合、バブルの予兆でありその後経済の停滞が予測される。

近年の大きなトピックといえばサブプライムローンである。

出版年の2015年現在、中国にて過剰債務状態となっており、今後の予測は以下の二通りになる。

・政府がうまくコントロールする。経済成長の伸びと債務拡大の低下を両立させ、バブルを軟着陸させる。台湾などが良い例

・コントロールに失敗し、債務拡大を続けることとなる。政権維持のため生産性の低い大企業を倒産させられず、資金注入し続けるしかないゾンビ企業が増大する。日本がその例。

 

著書の中では過去の債務拡大におけるメカニズムが述べられ、貸し手借り手のモラルについて言及されている。

この手の問題は政策・法律によるコントロール以外に手立てがなさそうに思えるので、過去の歴史という実績を上手に使ってほしい。

シャルマの未来予測 を読んでみて 8

第8章は【通過】

自国通貨の上下が経済成長にどういった影響を与えるか、という内容

 

通貨は割安で安定していることが望ましいとされている。通貨が割安だと国際社会で競争力を発揮でき、安定していることによって外国から資本を呼び込めるからだ。

また、ギリシャショックとアジア通貨危機を例に通貨レートの変化がその国にどういった影響を与えるか、そして周辺国にも概ね似たような傾向があることが述べられている。(時価総額ベースで当該国は85−90%下落、周辺国は65−70%程度の下落)

 

 

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第七章は【インフレ】

 

インフレが経済成長を阻害する理由は、民衆の不満により政権の安定に大きく関わること、経済の先行きが見通せず投資が鈍ること、である。

低成長高インフレだった国として、ブラジル・インド・トルコなどが挙げられる。

回復のキーワードとしてインフレにブレーキをかける中央銀行の独立性が重要である。

 

一方のデフレの代表格は日本。長期的なデフレ・スパイラルにより消費に消極的になった。

ちなみにデフレは需要主導(=購買意欲の落ち込み)によるものは悪、供給主導(=技術革新など生産性増加)によるものは善とされている。

 

インフレやデフレと景気の先行きには相関があるので、株式・住宅・玉ねぎの価格を注視することは大切だというのが結論だった。

シャルマの未来予測 を読んでみて 6

第六章は【産業政策】

 

投資が製造業・最先端技術・社会インフラに向かっていれば成長への吉兆だが、不動産などに向かっていれば悪いバブルでしかない。

新興国の成長要因は第一に製造業で、農村部の貧困層がシフトしていけるのは比較的簡単な衣料、そして工業へとステップアップしていく。

例えば、

・中国・タイの成功…製造業に注力

・インドの失敗…製造業のフェーズをスキップして、サービス業やハイテク産業を育てようとした

 

インドはハイテク産業に力を入れているイメージだったが、比較的教育レベルの高い層を生み出せはするものの国民の大多数を占める教育レベルの低い層の雇用や生産を生み出せていないのだという。

 

ここまで読んでみて、国際競争力を決める要因の一つが労働生産性で、そうすると労働生産性下げる働き方をしている&させている側もなんかおかしいよね、と思います。

シャルマの未来予測 を読んでみて 5

第五章は【地政学】について

貿易による経済発展には3つのフェーズがあり、

1,近隣諸国との自由貿易協定による活発化

2,経済大国間の交易ルートに乗ること

3,国内の第2都市の発展

 

1の好例はドバイなどで、排他的だが資源を持った国(サウジなど)との国際的なハブになっており、安全と自由によって外貨を集めている

2はベトナムポーランドなど。大国間の海路の導線上にある国はそもそも有利で、政治的に安定して、開かれた国であることをアピールしていくことが重要である。地中海ルートでかなり有利な位置にあるアルジェリアスーダンは、政治的に安定していないので素通りされてしまう

3は交易拠点となった1都市に富が集中すると内陸部・農村部との格差が拡大し、結局政治経済的に成長の限界を迎えるということ。高速道路の整備などが重要になってくるため、やっぱり政治の良さが肝となる。

地理的にも政治的にも恵まれて成功したケースとして最初に思い浮かんだのは中国の深センだった。深センしか知らなかったけど、中国は他にもこういった第2都市をうまく発展させているらしい

シャルマの未来予測 を読んでみて 4

第四章は国内経済への【政治介入】について。政治介入は経済面での悪い兆候であり、主に国民の目先の支持を集めるために行われる。

指標としては財政支出の対GDP比で、高い国はロシアやブラジル、インドなど。低い国は韓国台湾などだそうだ。

悪いとする根拠として、政府主導の投資は無駄が多い(=GDPの上昇に寄与しにくい)ことを挙げていた。

お役所仕事=責任の所在が曖昧、ニーズにマッチしない などのイメージはなんとなくあったので、このあたりはすんなりイメージできた。

 

ところでこの本では、様々な国の歴史から良し悪しの分析を行っているので、失敗事例がよく出てくる。そこに上がる国、だいたい決まっているような…。そして日本はめったに上がらない。これはなかなか凄いことなのでは。