シャルマの未来予測 を読んでみて 4
第四章は国内経済への【政治介入】について。政治介入は経済面での悪い兆候であり、主に国民の目先の支持を集めるために行われる。
指標としては財政支出の対GDP比で、高い国はロシアやブラジル、インドなど。低い国は韓国台湾などだそうだ。
悪いとする根拠として、政府主導の投資は無駄が多い(=GDPの上昇に寄与しにくい)ことを挙げていた。
お役所仕事=責任の所在が曖昧、ニーズにマッチしない などのイメージはなんとなくあったので、このあたりはすんなりイメージできた。
ところでこの本では、様々な国の歴史から良し悪しの分析を行っているので、失敗事例がよく出てくる。そこに上がる国、だいたい決まっているような…。そして日本はめったに上がらない。これはなかなか凄いことなのでは。
シャルマの未来予測 を読んでみて 3
今日は第三章、【格差】を読んだ。
格差社会で起こる富の再分配が経済に与える影響、国ごとの億万長者の数と総資産の保有比率などに言及している。
不平等が大きければ経済成長が阻害される。その理由はまず、高所得者比率が増えるとの「限界消費性向」低下すること。そして再分配施策を求める声や大衆の反感によって資産の国外移転が発生すること。
良い億万長者と悪い億万長者があり、前者は生産性の高いビジネスでの成功者(例えばハイテクや消費財など)後者はそうでないもの(原油や鉱業、不動産など)。レントシーキング産業というらしい。民間の調査でもロシアやサウジアラビアなどの産油国で腐敗の度合いが高く、不平等であったとのこと。
億万長者の行動が経済全体の方向性を示す風見鶏のようになっていく。
悪い億万長者の話、会社という組織でも現状維持を目指す人と創造的破壊による成功を目指す人の衝突ってあるよねと感じた。
会社もまた小さな社会なので、「現状維持からしか富を得ることができない」人が跋扈するようになったら腐敗した国と一緒なので、さっさとやめたほうが良い。一般社員は不平等社会の貧困層と同じなので、ずっと居ても何もいいことはないし、転職は亡命するよりずっと簡単だ。
合わせて読んでおきたい本
「組織の不条理―――なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか」